奈良県インバウンド協会は3月13日、第2回総会、特別講演、パネルディスカッションを開催しました。総会後の懇親会では、会員・非会員の皆様による活発な情報交換が行われました。ご出席いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
本記事では当日の様子をご紹介します。
第2回総会
以下の要領で、奈良県インバウンド協会の第2回総会を開催しました。
日時:2026年3月13日(金) 16時〜
場所:なら歴史芸術文化村 ホール(天理市)
概要:①総会、②特別講演、③パネルディスカッション、④懇親会

第2回総会 16:00~16:20
奈良県インバウンド協会の第2回総会では、以下の議事が賛成多数で承認されました。
議事
- 令和7年度事業報告、決算報告について(議案第1、2号)
- 令和8年度事業計画、予算案について(議案第3、4号)
- 奈良県インバウンド協会規約改正について(議案第5号)
- 役員改選について(議案第6号)
祝電およびご挨拶
総会および特別講演の開催にあたり、3名の方から祝電をいただきました。
- 自由民主党総裁 衆議院議員 高市早苗様
- 自由民主党所属 衆議院議員 小林しげき様
- 自由民主党所属 奈良県議会議員 若林かずみ様
高市早苗様からの祝電をご紹介いたします。

奈良県インバウンド協会特別講演会のご開催、誠におめでとうございます。訪日外国人観光客数が年々増加している今日、奈良の魅力発信にご尽力いただいております貴会のご活動は、意義ある成果をもたらしており、本日の特別講演会もその一環として有益な場になるものと存じます。会長の梅守様を始め、貴会並びにご関係の皆様に深い敬意を表します。
私も地元奈良の観光振興にスピード感を持って取り組んでまいります。引き続き、皆様にはご指導の程宜しくお願い申し上げます。
本日のご盛会を願いつつ、皆様のご健勝と益々のご活躍をお祈り申し上げております。
特別講演の前には、天理市の並河市長より壇上でご挨拶をいただきました。

総会および特別講演をご支援いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。
特別講演
近鉄グループホールディングス株式会社台北支社長の土井康敬氏が、「インバウンド最前線から考える奈良・中南和地域の未来戦略」をテーマに講演し、外国人観光客に選ばれる地域づくりには「大都市との差別化」と「海外目線でのコンテンツ制作」が重要だと強調しました。

土井氏は奈良県五條市出身。現在は台湾を拠点にインバウンド事業を担当しており、海外市場の動向を踏まえた観光プロモーションに携わっています。
講演では、海外の観光客が日本の地方に魅力を感じる視点について具体例を交えて紹介しました。例えば台湾人が日本の田舎の風景を撮影する際、あえて電柱を写真の中央に配置することがあるといいます。日本では日常的な景色ですが、台湾では電柱のある風景が少ないため、日本の地方らしさを象徴する景観として映るのだそうです。
「SNSで発信するだけでは十分ではない」
土井氏は、外国人が何に魅力を感じるのかという視点でコンテンツを作る必要がある」と指摘しました。
また、現在取り組んでいる伊勢志摩地域の観光プロモーションの事例も紹介されました。中華圏で影響力を持つ女性モデルを起用したプロモーション動画の制作が予定されており、SNSを通じて海外への発信を強化していく方針だといいます。
さらに参考事例として、茨城県が2022年に実施した観光プロモーションも紹介されました。お笑いタレントの渡辺直美さんを観光大使に起用したことで台湾での認知度が高まり、訪日客の増加につながったとされています。
土井氏は、海外観光市場を開拓するためには「現地を理解すること」が不可欠だと述べ、ターゲットとなる国を実際に訪れ、現地の広告やSNSを観察することの重要性を指摘しました。

また、観光プロジェクトを前進させるうえでは、企業の経営層など意思決定者が現地を訪問することが大きな契機になることもあるといいます。実際に台湾訪問をきっかけに事業化が進んだ事例も紹介されました。
講演の最後に土井氏は、奈良県中南和地域のインバウンド戦略について、「行政だけでなく民間も巻き込み、地域全体で取り組むことが重要」と強調しました。
奈良には歴史や文化、自然など独自の資源が数多くあります。これらを地域が連携して発信することで、世界の旅行者にとって魅力ある観光地としての存在感を高めていく必要があると述べ、講演を締めくくりました。
パネルディスカッション
3/13(金)のパネルディカッションには、以下の4名にご参加いただきました。
- 天理市長 並河健様
- 近鉄グループホールディングス株式会社 台北支社長 土井康敬様
- なら歴史芸術文化村村長 平田 千江子様
- 奈良県インバウンド協会会長 梅守康之様
奈良の観光の可能性と課題について考えるパネルディスカッションが行われ、自治体関係者や観光事業者がそれぞれの立場から意見を交わしました。奈良観光の現状を踏まえながら、滞在時間の延長や地域連携、体験型観光の可能性などについて活発な議論が展開されました。
議論の中でまず指摘されたのは、奈良観光における滞在時間の短さです。天理市の並河市長は、奈良が大阪や京都を訪れる観光客の「ついで観光」として訪れられるケースが多い現状に触れ、奈良市に宿泊してもらうためには県内各地を巡る周遊ルートの整備が必要だと述べました。また、近鉄とJRをまたぐ交通の利便性向上など、移動環境の整備も重要な課題であると指摘しました。

近鉄グループホールディングスの土井氏は、観光地へ向かう過程そのものも旅の魅力の一つであると語ります。「多少苦労して行く場所ほど印象に残る旅になる。ただし、行き方は分かりやすく示すことが大切」と述べ、交通情報の分かりやすい発信の重要性を強調しました。また近年の訪日観光客は体験型の観光を求める傾向が強いことから、自治体同士が連携した観光コンテンツづくりの必要性にも言及しました。桜井市や天理市など複数の地域を組み合わせた広域観光の可能性も示されました。

なら歴史芸術文化村の平田氏は、観光客の移動データの分析結果を紹介しました。奈良公園から天理方面へ向かう観光客や、長谷寺・大神神社から天理を経て名阪方面へ移動する観光客が想定以上に多いことが分かってきているといいます。「思い込みではなく、データをもとに観光の流れを把握することが重要」と述べ、客観的な分析の必要性を強調しました。また奈良の魅力を発信するうえで、「一番の広報マンは奈良県民」と指摘し、地域の人々が奈良の魅力を知り発信していくことの大切さにも触れました。

梅守氏からは、観光政策を考える際には海外から訪れる人の視点を取り入れる必要があるとの意見が示されました。自分たちの視点だけで観光を考えるのではなく、実際に訪れる海外の人々が何を求めているのかを丁寧に聞き取ることが重要だという指摘です。

また、滞在時間を延ばす取り組みとして、早朝または夜の観光コンテンツの必要性についても議論が及びました。並河市長は、かがり火や雅楽など奈良らしい文化を活かした夜間イベントの可能性に触れ、継続的な取り組みが観光客の滞在促進につながるとの考えを示しました。さらに、石上神宮の神職修行文化など奈良ならではの体験型コンテンツにも可能性があるといいます。
奈良には歴史、自然、社寺仏閣、古墳など多くの魅力的な資源があります。今回のディスカッションでは、こうした地域資源を生かしながら自治体や観光事業者が連携して観光コンテンツを磨き上げていくことの重要性が共有されました。奈良の魅力をより多くの人に伝え、地域の活性化につなげていく取り組みが今後ますます期待されます。
奈良県インバウンド協会の入会ご案内
今回のディスカッションから見えてきたのは、奈良のポテンシャルの大きさと、それを活かすための連携の重要性でした。交通、コンテンツ、地域の巻き込み、そして海外視点。奈良の観光は、まだ大きく伸びる可能性を秘めています。
奈良県インバウンド協会では、こうした取り組みをともに進める会員を募集しています。奈良の魅力を世界へ届ける仲間として、ぜひご参加ください。

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